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今回出版する『いのちにつながるコミュニケ―ション』の第二章に、「ありのままのままの声を聴く」という文章を書きました。これは、私がコミュニケーションのあり方を根本的に見直したきっかけとなった我が家の物語です。
当時、毎朝ぐずぐずと高校に行こうとしない次男とのやりとりに行き詰っていた私は、その頃学び始めていたNVCのあり方を試してみることにしました。良い/悪い、正しい/間違っているに基づいた、”相手を変えようとするコミュニケーション”は、完全に袋小路に入っていたからです。
ちょうどその頃、私はアメリカ西海岸でBayNVCが主催するリーダーシッププログラムに参加しており、6月にサンフランシスコの少し北にあるカリストガというとても美しい場所でリトリートがありました。サラリーマンだった私は、思い切って休暇を取ってリトリートに参加しました。そこで自分が息子の不登校をめぐって何を望んているのか、そこにある自分の2つの声を聴くことができたのです。
自分の望み(NVCではニーズと言います)がはっきりとわかると、自分がどう行動したいのかが明確になります。そこから、息子のありのままの声を聴こうとする日々が始まりました。
カリストガのマウンテンホームランチという宿泊施設のダイニング。毎日美味しい食事をここでいただきました。この場所で、世界中から集まった人々と語り合い、学びのサポートをし合ったりしました。自分の心が生まれなおした、心のふるさとのように思い出します。
残念ながらこの場所は、2017年の山火事で焼失してしまい、2016年に再訪したのを最後に、二度とこの建物を見ることができなくなりました。