最初に書いたブログは「ありのままの声を聴く 私が新しい聴き方を選択したワケ」というタイトルでした。どうやら学校に行きたくない息子の胸の内がわからず、袋小路のどん詰まりに追い込まれていた私がNVCと出会い、まずは自分の望み(ニーズ)を理解するところから変化の兆しが見え始めました。
私と相手の境界線を理解する
ギクシャクとぎこちないながらも、新しい聴き方=共感的な聴き方を始め、徐々に息子の感じていることや考えていることがわかるようになっていきました。(そのプロセスについては、第二章に書いています。)息子の話を聴けるようになると、いかにそれまで自分が、決めつけやレッテル貼りをしていたかがわかりました。相手のありのままの声を聴く前に、こちらが相手の声を勝手に解釈して応答しているのですから、コミュニケーションがうまくいくわけがありません。次第に、私自身が周りとコミュニケーションをとるときのあり方も変わっていきました。
自分の感じていること(感情)や大事にしていること(ニーズ)と、相手が感じたり大事にしていることの境界線がしっかりひけるようになると、俄然、対話が面白くなります。こちらの評価や批判を押し付けるのではなく、相手の中に何があるのかに好奇心が湧いてきます。こうして不登校をきっかけに、親子の対話が深まっていくことになりました。
聴き合えることはギフト
あれから5年の歳月が経ち、今でも親子の対話は続いています。日常の中での気づきや学びを共有しています。また、息子が何かザワザワする出来事があったときには、私が共感的に話を聴きます。逆に、息子が私の話を聴いてくれることもあります。そして、最近では息子が職場の人の話を聴くこともあるようです。
今思うことは、ありのままの声を互いに聴き合えることはギフトだということ。自分の聴きたいことを言わせようとしていたときには、思いもしなかったことです。ありのままの声を聴き合うことができれば、親と子であっても、お互いの命からたくさんの贈り物を受け取ることができます。我が家は長男が亡くなってしまったので二人家族の間の関係ですが、パートナーとの関係や生徒と先生の関係、部下と上司、地域のご近所さんとの関係にも言えることです。
付録のNVC解説がおすすめ
この本の付録に、とてもわかりやすいNVCの解説がついています。(小笠原春野さん執筆、イラストはまりあ、です)この本を手に取った方は、ぜひ目をとおしていただきたいと思います。新しい聴き方のヒントになると思います。そして、この本をとおして、新しい聴き方を試してみてくれる人が、一人でも増えるといいな、と思っています。